広島の建築家 岩本秀三建築設計事務所

無題

日本建築家協会会報1998年11月号

1983年以前,広島県内で建築家による講演会は年に1~2回 程度でした,建築に関する情報と言えば建築専門誌が主要情報源であり,そこに登場する建築家から直接建築の話を聞く機会など尚更でした.その様な状況下建築士会呉地区支部青年部のメンバーが集り,もっと建築を身近に感じながら,それを取巻く環境を少しでも良くしようと始めたのが「呉建築セミナー」と題する呉地区支部として独自の建築家講演会です.年一回開催のこの会も今年で15回を迎えることとなりました.ちなみに,第一回からの講演協力していただいた建築家の方々は以下のとおりです.(敬称略)木村誠之助,石井和紘,出江 寛,長谷川逸子,鈴木エドワード,伊東豊雄,宮本忠長,六角鬼丈,槇文彦(第10回),山本理顕,妹島和世,坂 茂,新居千秋の各氏で今年は11月19日「反オブジェクトの建築」と題して隈研吾氏に講演していただくことになっています.

最近,友人知人に会う度に現在の景気の低迷や,仕事の状況が話題になる,そんなことは広島に限らず.日本全国共通の話題だろうと思います.ただ,現在の様な状況下でこそ建築家としてどう乗切るのかが重要なことと思います.

私は事務所を初めて18年目になります.独立した当時も景気は余り良くなかったのですが,当時に比べても現在の景気には深刻なものを肌で感じています.ただ,事務所を始めた当初から私には決して譲らない事と決めたことがあります.それは自分が建築家として自立するためには設計監理以外の仕事はしないと言うことです.常に自分自身に正直に又,公明正大な立場で事を進めるためには最も重要だと確信しているからです.

様々な場面で見聞きする問題に,官庁工事の設計受注時の入札問題があります.設計という創造的な行為を根拠のない金額提示で受注すること事態本来正常な行為ではないと思います.その事は誰しも心の底で感じつつも目先の仕事を確保する事に翻弄し結果自身を欺くかの様に受注する.そんな受注形態で仕事を確保している人々が本当に多くいるように思いますが,結果平気でその様な行為をいている人に限って.設計料が安いとか入札という制度自体がおかしいとか不満を言葉多く語る人が余りにも多いのは何故でしょうか.建築家としての見識とその事の矛盾をどう考えているのか本心を聞いてみたいような気もします.

そんなこんなで私は,事務所を開設して以来役所の仕事はしたことがありません.もちろん公明正大なコンペとか指名コンペがあれば参加して正当な立場で堂々と官庁工事をしようとは思っているし.その事の方が理想でもあります.これからもこうした自分なりの建築家としての姿勢を守りながら,正々堂々とやって行くつもりです.


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